業務トピック

違法な債権譲渡

大手信販会社などが、提携先の事業者から債権を買い取って請求するという形式のものなどがありますが(これは適法)、いわゆるコゲツキ債権については、法的な問題が付着している為、法務大臣の許可がないと扱うことができないことになっています。
法的な問題点がある債権は、本来的には弁護士がその法的論点を踏まえた上で扱うべきもので、そのような債権を誰でも集めて請求することが自由に出来てしまうと、怖い人が買い取って請求をかけてくるというようなことにもなりかねません。
しかし、弁護士が全部チェックできるかというと現実的ではないですし、弁護士が債権を買い取って請求するかというと、そんなことも、まずありえません。
そこで、先ほどの法務大臣の許可という話になります。債権回収業に関する特別措置法という法律で、弁護士法の例外として、法務大臣の許可を得た業者は、このような債権を取り扱うことができるようになっています。
〇〇債権回収株式会社というような名前のところは、基本この許可を得ています。(具体的な業者について許可があるかは、「債権管理回収業の営業を許可した株式会社」で検索してみてください。)
俗にこのような許可を得た業者をサービサーと呼び、先ほどの法律をサービサー法と呼びます。
ところが、実際には、許可を得ずに債権を譲り受けて請求している業者があります。
このような場合は、債権譲渡自体が無効になりえます。
ただし、この法律は、弁護士やサービサーでないものが、請求を行うことを問題としていますので、自社で請求をせずに、つまり管理回収は弁護士かサービサーにお任せしている場合には問題になりません。
許可を得てないものが、請求するなということです。
ですので実際に債権譲渡が無効になりえるのは、譲り受けて、かつ請求しているような場合です。
このような場合には、債権譲渡が無効だとして、そのような債権者を相手にしなくてもよいということになりえるわけです。(元の債権者が、なお、債権者足りえるということになります。)
但し、関連業者で実質同じというような業者であったり、債権譲渡の過程について、行政機関や裁判所がOKを出しているような場面では有効になったりします。例えば、サラ金業者が倒産して、裁判所にて、その清算手続きの中で、債権を別のサラ金が引き継ぐというような場面などが当たります。
つまりは、関係ないやつが勝手に扱いだすのを防ぐというようなものであるため、そうでないなら債権譲渡が有効になりえるということになります。

なお、債権譲渡が有効であったとしても、イコール債権者として扱う義務があるかというと、そうではないところに注意が必要です。むしろ、こっちのほうが重要であるかもしれません。
それは、勝手に俺が債権者だと言ってるだけかもしれないからです。
前の債権者が、この債権者に譲渡しましたという通知があれば、別なのですが、通知がなければ、新債権者を債権者と認めないということも可能です。(なお、新債権者から裁判された場合は、新債権者なんか知らんしと無視してしまうと必ず負けてしまいます。お前を債権者と認めません!という主張を裁判上で行うことが必ず必要です。(債権譲渡無効の主張であれば、無効を基礎づける事実主張が必要。))

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