業務トピック

借金問題は、社会的な問題

民間貸付と公的貸付はセットで考える

お金の貸し借りは、法律では消費貸借というカテゴリに入るのですが、公の貸付制度としては母子福祉法など各種低利(又は無利息)での制度・法律があります。

別の記事で、利息は昔から当たり前にあったわけではないことを説明していますが、利息は資本主義の発展を考えたときに避けて通れないものでした。資本(お金など)から利益が生まれることを否定することは資本主義の否定になるからです。

その為、利息は避けて通れませんが、貸金は事業資金しか存在しないならよいかもしれませんが、消費者も借ります。
利息制限法という法律で極端な高金利は禁止していますが、これだけでは一般市民は守り切れません。
一般市民の生活上の資金需要については、市場に任せきり(民間貸付だけ)にするだけでは、暮らせない人が出てくる為、各種福祉関連法令があるわけです。

多くの人が消費者金融を利用しているという現状

さて、日本では1000万人余りの人が消費者金融を利用しています。子供が借りてるわけないので、大人の数で考えれば10人に1人以上の利用があることになります。

借金は個人に帰責性があると思われがちですが、10人に1人となると、借りた人に計画性がなかっただけだと言えますでしょうか。

そう言うには、あまりに数が多すぎませんでしょうか。

システム的に資金需要が発生する

資本主義は、その性質上、利息の否定はしませんでした。

資本主義は資本のあるところに儲けが集まるシステムです。大きい会社は資本も大きいので儲けを出しやすいわけです。そうやって世界で競争できる会社を育てないと日本は貧しくなりますので、これはこれで必要なことです。

ただ、一般の労働者には資本がありませんので、必然的にお金が集まりません。収入のよい仕事に就けばよいかもしれませんが、そのような仕事には限りがあり、全ての人がありつけることはありません。

つまり、資本主義は競争に敗れる人の存在を前提にしたシステムなわけです。

元々負ける人の席が用意されているのです。

結果、生活費などに困る人が出てきます。必ず一定の数、一定の割合で。そうした人が出ることを資本主義自体が内包していますので当たり前ではあります。

一定の人はお金に困り、資金需要が発生します。
その需要を各種福祉法令が吸収しきれればよいですが、そうでもありません。なので、消費者金融を利用します。

つまり、構造的に、消費者金融を利用をせざるを得なくなる人が、少なからず出る仕組みになっているのです。資本主義社会では、成功する人が出る一方、お金を借りざるをえない人もどうしても出てきます。

これは資本主義社会の副作用として生じるのです。
資本主義に内包されたことなので、自己責任という各人の問題にするのではなく、社会的な課題であるということになると思います。

※資本主義は、自由主義経済のことと混同して捉えられがちですが、資本主義だけど、自由主義性が弱い国もあります(年功序列制度など、かつての日本がそうだと言われました。)。
資本主義は、資本が利益を生むというシステムのことです。
それと一切の規制をせず、自由になんでもしてよい(自由主義)という点は別の概念です。
この点、修正資本主義として、自由を一部制限していくというのが利息制限法(自由に利息を取ることを規制する)などの各種規制法令です。(全く規制のない国はないので、現代資本主義国はこの体制と言ってもいいかもしれません。)

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