業務トピック

法律の相談は共同作業

法律の相談に限りませんが、一方当事者が理解していることと、別の当事者の理解が違う場合、同じ物事について、同じに見えることはありません。
そうしますと、同じことを話しているつもりでも、全く伝わっていないということが起きます。
それは、各々の認識における理解は、それぞれの人間固有の意識下にあるからです。

ですので、それを一致させる為には共通認識ができないといけません。
共通認識が生まれますと、その物事は双方当事者にとって同じ物事になります。

哲学者フッサールは、認識世界が各自それぞれにあるが、共通認識ができることで、それは共通のものとして認識できるというようなことを言っています。(こういったものを現象学といいます。)

この点の共通認識がないと、紛争は生じやすいです。
消費者トラブルの一部も、おそらくこれが要因の一つかと思います。
事業者が騙さそうとしている場合は問題外ですが、そうでなく事業者も真面目にやっているのに、消費者との認識が違う為に、後でトラブルになるといったことが生じえます。

法律の相談は、弁護士や司法書士など、各種法律関係職が、その認識している世界でもって、説明を試みます。当然ながら、相談者はそういった世界観を有していないからこそ相談に来るわけですから、認識の不一致はかなりの確率で生まれます。

従って、共通認識を持っているかを随時確認していく作業がとても大事です。
比喩的な図などを私は好んで説明に使うのですが、法律用語は認識する世界が異なり過ぎますので、イメージを共通化することを目的として図の活用をします。(その場で書くので結構汚い図ですが・・・)

そうやっても、そもそもの法律という概念が難しいものですので、不一致は非常に生じやすく、お互いわかったつもりになったりします。

また、相談者の事実認識とは異なる世界認識で生きていますので、相談者の言葉を共通認識できるかという問題もあります。この点がうまくいかないと、「この司法書士、話、聞いてないわ」ということになりかねません。

こういった中、共通認識を作っていくのは、共同の作業になると思います。
コミュニケーションはキャッチボールだと言いますが、お互い投げたボールがどう受け止められているかは別問題です。
このあたりの調整を図ることは、相談者と相談を受ける側の共同作業、言うなれば合同的行為であるとも言えると思います。


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