業務トピック

遺言書の作成

遺言書の主な機能

子どもの認知ができるなど特殊なものもありますが、遺言書の最も基本的な機能は、亡くなられた後の財産の帰属についての指定です。
遺言書がなければ、法定相続人全員による遺産分割協議が必要となります。
相続人全員が仲良く、かつ判断力に問題がなければ遺言の必要性は低いですが、遺産分割協議をすることが困難な場合には遺言書を作っておくことが望ましいです。


遺言書はお金持ちだけのことか


アメリカでは凡そ50%の人が、既に遺言書を作っているそうです。
文化と言っても良いレベルですね。
亡くなった後の財産は、額が小さくても、また額の大きくない不動産であっても、手続き自体はほとんど変わりません。
結局は、遺産分割がスムーズにいきそうか、そうでないかがポイントになります。


特定財産承継遺言


判例上「Xに〇〇を相続させる」という文言は、遺産分割方法の指定であるとされております。民法改正時(2019.7)にその判例を法定化し特定財産承継遺言という名前が付きました。
名前は、別に重要ではないのですが、遺産分割方法の指定というのは、つまりは、もう遺産分割済みにするというようなことです。
このような遺言があれば、その特定の財産については、遺産分割をする必要なく、権利者が定まることになりますので、このような文言を使うことはとても多いです。


遺言執行者の問題


「相続させる」遺言は、権利者が定まるので、その人だけで手続きが可能になるはずなのですが、一部の金融機関はこれに慎重な態度を示すことがあります。民法改正で特定財産承継遺言というので、法律上の根拠もできましたので、大手では最近はあまり見なくなりましたが、別途遺言の手続きをする人=遺言執行者の定めがないと、相続人全員のハンコが欲しいなどという金融機関もあります。
遺言執行者がいますと、その点、問題がないのですが、遺言執行者は、「こんな遺言があります。これから遺言を執行しますよ。」ということを相続人全員に通知する義務があります。
なので、この点で、通知がきっかけで、文句が出てくるという可能性がないではありません。



公正証書遺言はとても有効


文句のつけ方の一つとして、その遺言は無効だという意見です。遺言者はこんなものを書いていない。などという指摘です。
この点、公証役場という役所(主に裁判官のOBが務めている)で作成しますと、公証人が意思確認をしっかりしますので、無効リスクが低いという安全性があります。
また、裁判官のOBなど法律のプロによるチェックが入りますので、安全性が高く、さらに、自分で書いた遺言の場合は、家庭裁判所でのチェックの手続きが必要になりますが、それが不要だという利点が大きいです。また、原本を公証役場で保存するので、紛失の可能性がないことも重要です。
ただ、公証役場の側で一から文書を起案するというわけではありませんので、原案はこちらで用意することになります。
資料を揃えることも必要になりますし、遺言書の構成を細かく検討するにあたっては(つまりは公正証書遺言の原案の作成)、弁護士や司法書士を利用することが望ましいです。



遺留分の問題


ざっくりいうと法定相続分の半分(直系尊属(父母など)が相続人の時だけは3分の1)が遺留分として、相続をたくさんもらった人に請求できることになっています。
この点、遺留分を考えた遺言書の作成をするということも考えられますが、遺留分は請求されたらお金で払うことになるのですが、遺留分請求をしなければならないわけではなく、遺言が有効であるけれど、遺留分が欲しい人には払う必要があるという構成になっています。
ですので、遺留分の問題は後から出てきうるという問題となります。
なお、兄弟(甥姪含む)には遺留分はありません。
親・子・孫・ひ孫・・・がいないと、配偶者と兄弟(亡くなっている場合は甥・姪)が相続人になりますが、兄弟には遺留分の請求権がありませんので、配偶者が全部相続する形での遺言をした場合は、全て配偶者が財産を取得することになります。



遺言書は構成力


遺言は、亡くなったあとに使うものですので、亡くなってから問題になった点は、どうしようもありません。ですので、遺言は、いろんなことを想定して、予め作成することになります。
色んな可能性を考えて遺言書を作ることになるので、よくよく検討をする必要があります。

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