業務トピック

成年後見と尊厳

地位としての尊厳、本質的としての内在的で無条件で比較できない価値を持つ尊厳、態度としての尊厳、敬意をもつという尊厳。

尊厳の多様的理解とカトリックでの変遷、カント的理解、シラーの理解などから問い直して考える。

フランスの理解は大変興味深く、小人投げ競争を禁じることを違法とした。これは当該小人症のひとが威厳のない振る舞い敢えてすることについて自ら選択する権利があるとして国家が介入することに慎重に考えたのである。ユーモアの重要性が尊厳をかえって尊重するという事例で、尊厳の拡張を危険視する。

また、カトリックの理解も大変興味深く、元々は地位としての尊厳という不平等説に立つも20世紀以降は人権的な見方と親和的になる。受胎時に尊厳が生じるとする。一方でカントは人格の内にある人間性の不可侵という表現をし、カトリック教会は受胎時に人格を観念できないとしてこれを非難する。

ヨーロッパにおける尊厳は等価性を否定し、複数の尊厳を比較することを認めない。とりわけドイツは二次大戦の反省からこれにかなり敏感で尊厳の軽視に繋がることを大変慎重に期する。加害者に拷問をちらつかせて被害者の発見を強制させるのは違法。

カントもカトリックも内在的な価値の所有者でなく管理者にすぎないのであって自殺は容認できない。自分の条件を好きに処理してもよいが自分の人格を好きに処理してはならない。なぜなら、人間はそれ自身が目的であって、手段ではないから。この捉え方は東海大学安楽死事件に似ており、死をどう迎えるかは選択の権利はあっても死ぬ権利を認めたものではないとするのを思い出した。

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