発達心理学的な「存在の承認」を基盤に「行為の承認」があり、行為の承認だけでは満たされない。何かをしたことでの価値はその行為をしなければ途端に失われる。
他者からの承認を、親密で信頼できる人からの親和的承認、所属集団の人からの集団的承認、見知らぬ人からの一般的承認に分ける。親和的承認は存在の承認であり、ありのままの肯定である。その他は行為の承認性があり、それは飽くなき承認欲求となりやすい。
他者からではなく自らに対する自らへの承認という場合、ルソーの一般意志に通ずるような普遍的自己承認、ある社会的規範にそぐう自分かという規範的自己承認、自分勝手な勘違いの独善的自己承認がある。普遍的自己承認は特定の価値観を妄信せず、様々な人の意見を公平に考慮し、絶えず行為の価値を吟味し納得した上で行為を決定し、普遍的視点から内省することで得られる。
存在承認はありのままの存在を相互承認することが求められるが、ありのままとは何でもしてよいということではなく他者の人権の承認である。人権の承認とは即ち普遍的自己承認の基となり、それよって行動をすれば自然とその行動は価値あるものとなり、行為の承認も得られることになる。