業務トピック

司法書士相談業務 相談とは

相談には世間知、現場知、学派知が用いられる。専門知識に偏った学派知(例えば法学における覚知主義と認知主義の対立のような専門的見方。こんなことしか言わない人間は不気味である。)のみの相談のあり方に疑問を持ちながら日々相談にあたっているが、そのロジカルなカテゴリを思う。
相談者は世間知、即ちふつうの人々が行う相談の感覚では解決できないときに専門家を頼る。そんな相談現場で世間知のみの回答だけであれば何しに来たかわからない。社会的コードの範囲、それが世間知だ。世間知による相談、これをふつうの相談と呼ぶ。これにも大きな効果がある。時間を処方する効果があり、ラポールを形成する。とてもサポーティブなあり方である。
しかし世間知には複数性が希薄であり、実は傲慢さも見え隠れする。世間が排他的な場面であれば危険性は少なくない。そこで現場知が求められる。制度的役割の知であり、社会規範、社会の集合知である。硬い現場知には公的な知、柔らかな現場知には心理的経験的なものが当たる。但し、学派知と異なりローカルな知である。その場や地域の臨床文化が現場知である。とても有益であるが、統治的でありフーコーの指摘するような暴力的な面が無いとは言えない。
専門家への相談は現場知や学派知が要求される。但しそれだけでは「常識と違う」「聞いてもらえていない」という現象が現れるのが実感としてある。それが冒頭の疑問である。
相談が上手い人は世間知を上手に扱う。常識や聞いてもらったはとても大切なことだ。著者の指摘に唸ったのが、それは現場知や学派知は世間知が基礎にあるという指摘だ。なぜなら苦悩とは専門家ではなくユーザーによって始まり、その周りで対処が始まる。まずはそこからなのだ。さらには相互性のあるものでありグラデーションがある存在である。単にカテゴライズされるのではなく、ふつうの相談があっての専門的相談である。世間知、現場知、学派知を統合するのが臨床知である。その総合力が臨床家の相談力なのだろう。

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