業務トピック

貧困理論と労働事件

タウンゼントの相対的貧困に含意されない社会的排除の範囲について。

社会的排除で注目されるのは次の4点。①経済的次元を含んだ多次元性②状態ではなく過程に注目すること③権利や制度を人々が享受できなくなる状況④政治的指向性を持つこと。
ギデンズのべヴェリッジ報告(五大悪の不足、病気、無知、惨め、怠惰)に対するアプローチも注目される。自主性、健康、教育、ウェルビーイング、イニシアチブがあります。ポジティブウェルフェアである。そこにはエンパワーがある。
そしてセンのケイパビリティアプローチである。メンバーシップではなくシチズンシップすなわち自由です。
労働の権利というのも鋭い指摘で日本では全く法的には評価されていないが、フランスでは重視されておりエンプロイアビリティと言われる。動物的機能を充足させるために働くという状況からの逸脱。再商品化を目指す社会政策の中に脱商品化の潜在的契機が含まれている。働く権利というのはもっと評価されていい。労働事件において、いつも法律はずれていると感じます。
自己決定とはそもそもなんなんのか。
「現実の一人一人の個人が、抽象的な公民を自分のうちにとりもどし、個人としての人間がその経済的生活、その個人的労働、その個人的諸関係のなかで、類的存在となった時、つまり人間がその「固有」を社会的力として認識し、組織し、それゆえに社会的力と政治力というかたちではもはや自分から、切り離すことが魔できなくなる時、はじめて人間的解放が成就されるだろう。」
疎外から自分を取り戻す労働によって生起されます。
最後にあとがきの言葉が沁みる。「その思想に生活はあるのか?」先輩司法書士から言われた言葉にそっくりの言葉でした。
「働きたい。」という言葉の意味。ガンジーがそうであるように働くとは人間にとって過程であればこそ必要なものでしょう。

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