業務トピック

司法書士相談業務 過去

過去とは不在への態度である。三日前、三年前といった数量的に時間は数えることができるが、30年前のことが昨日のように感じたり、過ぎ去った長い年月があっという間のことだったと感じたりする。過去は順番に並んでいるのではなく、今はそれはもういないのだという意味付において存在する。

「今日は暑かったなぁ。」などと振り返った「とき」に過去が今ではなく過去として現れる。暑さが続くとき、「暑いなぁ」とは言っても、「さっきまでも暑かったなぁ」なんてことは言わない。その暑さが過ぎてしまったとき、不在になったときに過去が過去として語り始める。今とは必ずしも瞬間を指すわけではなく、体験として続くうちは今にあるのかもしれない。

時を刻む時計の針の音と音のその間が今をどんどん過去にするようではある。今はあたかも眼前に示されているように思えるが、それは眼前の事物でしかなく、今もまた概念に過ぎない。今を了解することは、今と今でないことの関係を了解することである。

とすれば我を忘れて何かに夢中になるときは、今でないことを了知し得ないのだから、忘我して今を生きるときこそ、今を了解することは能わないとも言えるのかもしれない。

過去の出来事は、夢の中のようであり、それがどれだけの長さであったかなどわかりようはずもない。今のこともまた同じ。

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