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住宅ローンの団信で抵当権が消滅した場合の抹消登記を解説

住宅ローンを利用して不動産を購入する際、抵当権が設定されますが、団体信用生命保険(団信)により、ローン契約者(設定者)が死亡した後に抵当権が消滅することがあります。この場合、どのように抹消登記を進めるべきか、本記事で手続きをわかりやすく解説します。

団信とは?

団体信用生命保険(団信)は、住宅ローン契約者が死亡(または高度障害状態)になった場合に、保険金でローン残債を完済する仕組みです。これにより、債務が消滅し、抵当権も効力を失います。例えば、父が住宅ローンを組んで団信に加入し、死亡後に保険金でローンが完済された場合、抵当権は自然に消滅します。

抵当権消滅の仕組み

  • 設定者の死亡: 父が亡くなり、団信の保険金が支払われる。
  • 債務の弁済: 保険金で住宅ローンの残債がゼロに。
  • 抵当権の消滅: 債務がなくなると、抵当権はその目的を失い消滅(民法第497条の付従性)。

ただし、抵当権が消滅しても、登記簿上では自動的に抹消されません。相続人や遺族が抹消登記を申請する必要があります。

抹消登記の必要性

抵当権が残ったままでは、不動産の売却や新たな融資の際に支障が出ます。また、2024年4月1日から相続登記が義務化され(2025年4月10日現在)、不動産の権利関係を整理する重要性が高まっています。団信でローンが完済された場合、速やかに抹消登記を行いましょう。

抹消登記の手続き

団信による抵当権抹消の手続きは、相続人と金融機関(抵当権者)の協力で行います。

1. 申請権者

  • 共同申請が原則: 登記権利者(不動産の相続人)と登記義務者(金融機関)が共同で申請。
  • 相続人が関与: 設定者(父)が死亡しているため、相続人が権利者側として申請に加わります。

2. 必要書類

  • 登記申請書: 「弁済」「解除」「放棄」などを原因として記載。
  • 金融機関からの書類:
    • 抵当権解除証書(弁済証明書)。
    • 登記識別情報(旧・権利証)または登記済証。
    • 金融機関の会社法人等番号(印鑑証明書は通常不要)。

3. 手続きの流れ

  1. 金融機関に連絡: 団信でローンが完済されたことを確認し、抹消に必要な書類を依頼。
  2. 書類準備: 金融機関から解除証書等を受け取り、相続関係書類を揃える。
  3. 申請書作成: 法務局の様式を使い、金融機関と共同で作成。
  4. 登録免許税: 不動産1個につき1000円(例: 土地と建物なら2000円)。
  5. 法務局提出: 管轄の法務局に提出し、審査後に抹消登記が完了。

具体例で考える

  • 状況: 父が住宅ローンを組み、団信加入。2023年に死亡し、団信でローン完済。子Aが相続人として2025年に抹消登記を申請。
  • 手続き:
  • 相続登記が先: 父の名義のままでは抹消申請ができないため、先に子Aへの相続登記が必要です。相続登記は3年以内に義務(2024年4月施行)。
  • その後のに抵当権抹消手続き
  • 結果: 登記簿から抵当権が抹消され、子A名義の不動産がクリーンに。

注意点

  • 金融機関の対応: 団信完済後、銀行が書類発行に時間がかかる場合があるので、早めに連絡を。
  • 費用: 登録免許税以外に、書類取得費用(戸籍謄本1通450円程度)がかかることも。
  • 専門家の活用: 相続登記と抹消登記を同時に進める場合、司法書士に依頼すると効率的。

まとめ

住宅ローンの団信で設定者が死亡後に抵当権が消滅した場合、相続人と金融機関の共同申請で抹消登記が可能です。まずは相続登記を済ませ、金融機関から必要書類を取得し、法務局に提出すれば手続きは難しくありません。不動産をクリーンな状態に保つためにも、早めに動き出しましょう。疑問があれば、法務局や専門家に相談するのがおすすめです!

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