債務整理と生活再建策

借金問題

破産手続 

人生のやり直し

「破産」というと、びっくりしてしまうかもしれません。
とても不安をあおるような言葉だと思います。

ですが、イメージされているほど、破産は、とんでもないことではありません。

破産は「人生のやり直し」の手続きなんです。

破産手続きは何のためにあるのですか?

破産には二つの側面があります。一つ目は、戦後の破産法改正後で明らかとなった「経済的再生」です。つまり、人生のやり直しをできるようにというのが破産法の目的の一つです。

もう一つの目的は、債権者の保護です。もし、配るべき財産があったなら、債権者は基本的に平等に扱って、平等に配りましょうというものです。「債権者の平等」。これがもう一つの側面です。

経済的再生

破産手続きでは、債権者に財産は配ることになっていますが、実は身の回りのものは配りません。なぜなら、そのようなものまで配ってしまうと、経済的再生ができないからです。
財産を配ることを配当といいますが、その基準は50万円と20万円。
現金と普通預金の合計で50万円以上の財産があると配当対象になりえます。
また、現金・普通預金以外の財産が20万円以上ある場合(例えば、「自動車」や「保険の解約金」など項目別で検討。)も配当の対象になりえます。

しかし、このような財産がない場合には、配当は全くなされません。
つまり、身ぐるみをはぐようなことは破産手続きでは行われないのです。

免責

戦前の破産法では、実は債権者の平等のみの目的であって、経済的再生という考え方はありませんでした。
財産を配当して、なおも残った借金はその後も残るというのが、戦前の破産法だったのです。

それが、戦後、「免責」というものが導入されました。
免責とは、責任を免れる=つまり借金を払わなくてよくなるということです。

免責は裁判官によって判断されますが、原則的に免責はされます。

例外的に借金の理由が、浪費であるなどの場合は、免責されないと破産法では書いています。。(免責不許可事由)

ただし、それも反省して改善していれば、再例外で、免責されます。

つまり結果的に、免責は、ほぼされます。

それも九十数パーセントという割合で免責されます。

反省文や、生活再建策を裁判所に示す必要がありますが、最終的な解決はまず得られると言っていいのが、破産実務です。

但し、裁判所に行って、直接裁判官からおしかりの言葉を受けたり、場合によっては、管財人といって、一定期間、きちんとしているかを観察することもあります。

それでも免責不許可自由があるのではないかと不安な方も、最終的には、まず免責されるといってよいです。

(但し、税金など一部の債務は破産で消えないことになっています)

破産手続きの流れ

取り立てSTOPと債権調査

貸金業者や銀行など、金融関係の請求は司法書士が受任通知を送りますと、基本的にストップします。

一方、債権者には、貸金業者などだけではなく、携帯電話会社などの業者の他、友人や知人、会社からの借り入れも含まれます。

これら、金融関係以外の債権者からの請求は、禁止されていませんので、払ってほしいと言われることがありえます。ただし、「債権者平等」の原則により、「友人だけは」などと一部の債権者に支払うことは偏波行為(へんぱこうい)といって、禁止されています。(免責不許可事由になるとともに、過大な場合には、管財人による返還請求もありえます。)

友人、知人を含む、全ての債権者を洗い出し、その調査を進めていきます。

財産調査・資料集めと経緯のまとめ

裁判所に、財産の有無を細かく報告する必要があります。

基本的に求められるのは、賃貸借契約書など住まいの部分、通帳全て、水道光熱費電話の領収書(引き落としの場合は不要)、保険証券・保険解約返戻金証明(掛け捨ての場合含む)、車検証といった財産について。

さして、収入について給与明細、源泉徴収票(又は住民税の課税証明書)、年金額決定通知書、生活保護受給証明書(決定額通知書でもよい)。

借金の理由に病気がある場合は、その病気を証明できるもの。

そして、借金の経緯をうかがってまとめていきます。

経緯をまとめるには、主に2点の理由があります。

借りた理由に免責不許可事由がないかの確認。

経緯からして、財産が他にないかの確認。

例えば、「昨日300万円借りました。今日、破産します。」という経緯しかないと、300万円手元に残っているのでは?と裁判官は思います。

ですので、経緯に妥当性があるかを確認していきます。

また、免責不許可事由がある場合には、その点についての反省文や改善策の作成も必要となります。

また、現在の収支状況を確認し、支払いが本当にできないかを確認します。(家計収支表の作成)

申立

裁判所に申し立てをしますと、追加の指示があります。

もう少し詳しく確認したいことなどですが、これは裁判官の判断なので、事例ごとに異なります。

追加指示には1-2週間で対応を求められますので、すぐに対応する形になります。

審査・呼び出し

免責不許可事由がなく、配るべき財産もなさそうだと判断された場合は、書面のみで審査が終わります。

免責不許可事由や配当すべき財産がありそうな場合は、裁判所に呼び出されます。

財産が多いなどの場合は、管財人という財産管理人が選任されることがありますが、そういったことがなければ、裁判官からのお叱りを受けて、実質審査は基本的には終了となります。

破産開始決定と同時廃止決定。

配当が必要がないと判断された場合、破産開始と同時に、「配るものがありません」ということで、終了する旨の破産の廃止決定が出ます。

免責決定

免責不許可事由がない、または裁量で免責できると判断された場合(ほぼ判断されます。)に、免責決定が出ます。=借金の支払い義務がなくなる

ただし、免責の効果はこれが確定したときとされており、確定前に最終の確認の為に、官報という国の新聞のようなものに免責しますが、文句のある人はいますか?ということを載せます。

文句を言ってくる人はほぼ皆無ですので、儀式的ではありますが、免責決定のあと、約1か月後に免責が確定され、晴れて、借金がなくなるということになります。

 

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