残業代の時効は2020年改正前は2年です。
これは給料日から計算していきますので、毎月毎に一か月分時効時期はずれていきます。
結論は、2年。2年になった経緯を紐解いてみます。
2020年改正前民法では、時効期間は1年と規定されていました。しかし、会社勤めしながら、会社に残業代請求をするというのはなかなかできるものでもないですし、特別法として労働基準法で2年と設定しました。
特別法というのは、一般法に優先するという意味合いのもので、民法は広く一般的なことを定めていますが、給料や残業代に関しては、特別法である労働基準法を優先して適用するということで、2年になったのです。
ところが、2020年民法改正で、1年時効というのがなくなりました。基本的には、あらゆる債権の時効は5年を基本にしましょうといなったのです。これは一般法の改正です。
ところが、これでは、一般法より優先適用される特別法である労働基準法は2年のままです。このままでは、時効は2年です。しかし、労働基準法が2年にした経緯が労働者を守るには1年は短いからだったわけで、その為にしたのに、その法律が邪魔をして、一般法の5年より特別法で短くするという変なことが起こってしまいます。
そして、この度、2020年改正に合わせて、労働基準法も改正されることとなりました。5年になるかと思いきや、事業者側の反対もあって、3年になったとのことです。
なお、2020年改正前でも、あまりにひどいという場合は、残業代として請求するのではなく、損害賠償として請求する構成もあります。この場合は時効は3年ですが、これを認めてもらうのはかなりハードルが高いだろうと思われます。