不動産の名義変更(相続登記)  抵当権の抹消

名義変更(相続登記)に必要なこと

論点はたくさんありますが、ほとんどのことは司法書士に任せることができます。必要なことは、①皆さんで誰が相続するかを決めてもらうことと、②相続人全員の印鑑証明書を用意して、③あとは司法書士にお願いすれば、ほぼ手続きは行うことができますので、ご安心ください。

不動産の名義変更(相続登記)は、権利を守る手続き。

とても手続きはややこしいし、お金がかかるのも負担感のある手続きですよね。
しかし、このまま放っておいてもいいかというと、そうでもありません。明日は大丈夫でも、いずれ、このままにしていたのではまずい・・・ということになってきますので、なるだけ早い手続きをお勧めしています。

名義変更(相続登記)はやらないといけない? 
権利?義務?

義務的相続登記

相続登記の義務化の法律が、国会を通り、公布されました。
施行日はまだ先ですが、施行されますと、公布時点で発生していたものも義務の対象になるとされている為、相続登記は事実上、義務になったと言えます。ただし、この義務的にしなければならない登記は暫定的な登記で、名義変更の手続きが完了したというわけではありません。つまり、義務部分だけでは名義変更手続きではないのです。

この義務化による相続登記は、法律上の割合での登記であれば、相続人の一人からすることもできます。
亡父⇒ 母2分の1 長男4分の1 次男4分の1というような登記です。

この登記では、後日もう一度、正式な名義変更のための権利の相続登記をする必要があり、手間が余計にかかりますし、とりあえず、義務部分だけやっておくというのは、あまりお勧めできないものと思われます。

なお、2019年民法改正前は遺言があるなどの場合は、勝手に売却されても、権利を取り戻すことができましたが、2019年7月以降、勝手に売却されますと、権利を取り戻すことは基本的にできなくなりました。ですので、後の権利的な相続登記にて、きちんと名義変更を済ませておく必要があります。

権利的相続登記(名義変更)

例えば、子どもが複数いるけれど、長男が全て相続するような場合、
亡父⇒ 長男  という登記は、これは権利的な相続登記であり、長男にしか名義がいかないので、名義変更をきちんとしておけば、他の相続人に勝手に売却される恐れはありません。もし、名義変更をせずにそのままにしておけば、他の相続人に法的なトラブルが発生してしまうと、それに巻き込まれる恐れがあります。名義変更をきちんとしておくと、その後の売却などの取引も円滑に進みます。但し、この場合には、母と次男にも実印と印鑑証明を必要とします。

以上を踏まえ、権利による相続登記をして名義変更することは、権利を守る上でも、その後の売却などの取引のことも考えますと、大変望ましいことです。一方で、義務化による登記をとりあえずしておくだけというのは、危険性が高く、お勧めすることができない登記であると言えます。

名義変更(相続登記)に必要なこと

相続登記をして名義を変更するには、不動産を誰のものにするかということを相続人全員で決める必要があります。(もし行方不明の人がいれば、裁判所で、行方不明の人の代理人を選任する手続きなど、必ず相続人全員が関与することが求められます。)

そして、ご本人確認のできるものを用意して頂き、印鑑証明書を用意いただく必要があります。

その他の書類として、相続人を確定させたりするのに戸籍や住民票、登記の税金の計算の為に固定資産評価証明書などが必要となりますが、基本的に司法書士が手配するので、あとはお任せでも大丈夫です。

権利証は要らない?

権利証は、法律上は求められていませんが、戸籍に誤りがあったり、古い住民票が入手できないなどで、相続登記に必要な書類が全て集まらない場合などには、権利証を補強資料として使うことが実務上行われております。そういった特殊な場面や、不動産を特定するなど準備作業の円滑にあたっては、必要となりますので、あったほうが良いというようなものですので、ないからといって、手続きができなくなるわけではありませんので、ご心配は要りません。

標準的な名義変更(相続登記)はどのくらいの費用がかかる?

  • 標準的なもので司法書士費用が6万円から12万円くらい。一番多いのは8から9万円くらいです。
  • 戸籍など必要な書類の実費として数千円から3万円くらい
  • 登記の税金として数万円。(不動産の価値の0.4%。1000万円あたり4万円の計算です。)

合計  10万円~十数万円くらいが標準的な費用となります。

特殊な名義変更(相続登記)

  • 相続が何度も発生しており、2代、3代となっているような場合は、相続人が大人数になっており、時間と費用がかかります。
  • 相続人の中に、未成年がいる場合
    この場合、裁判所で特別代理人という未成年の代理人を立てる手続きが必要となります。その手続きに数万円の費用が見込まれます。また、この場合は、基本的に未成年者の権利を保全する必要がありますので、特別な事情がなければ、未成年者の法律上の権利分は名義を取得させる必要があります。
  • 相続人に行方不明の方がいる場合
    不在者の財産管理人の選任といって、行方不明者の代理人を立てる必要があります。不在者の財産管理人は、行方不明者の為に動く必要がありますので、その分の権利を取得させる必要があります。不動産名義を共同取得して、売却するか、家を残したい場合は、その権利分にみあう金銭を用意する必要があります。
    もう一つの方法に失踪宣告といって、原則7年以上行方不明の場合に、死亡したとみなす旨の申立てをする方法があります。
    いずれの場合も、行方不明者が見つかった場合には、裁判所の手続きはストップします。(直接、相続人間でどうわけるか話し合いをすることになります)
  • 遺言がある場合。公正証書遺言や法務局保管遺言以外の場合は、裁判所で検認手続きをする必要があります。検認は、裁判所で記載内容について状態保存をする手続きなのですが、検認をしていない自筆の遺言は、手続きには使えないのが実情です。費用として数万円が見込まれます。

どうして亡くなった方の戸籍や住民票が必要?

まず、法務局は、どなたが相続人なのかは、知りません。ですので、法務局に相続人がだれかを証明する必要があります。そこでスタート地点となるのは、登記簿の住所氏名です。法務局からすれば、登記されている方が亡くなったご本人だということすら明らかでないのです。法務局が知っているのは既に登記されている方(登記の名義人)の住所と氏名だけです。
こちらに登記されている住所と氏名は、ひょっとすれば、お亡くなりになったときと変わっているかもしれません。結婚して氏名が変わることや、引っ越しをされている場合も珍しくないですよね。


亡くなった方の住民票や戸籍の附票

例えば登記では大阪市A地という住所で記録されているとします。ところが、最後にお亡くなりになったときの住所が大阪市B地ですと、それだけ見れば、同姓同名の他人に見えてしまいます。ですので、大阪市A地に住所があったという記録(住民票や戸籍の附票)をつけて、大阪市A地と大阪市B地の住所をつなげてあげて、同一人物であることを証明する必要があるのです。

亡くなった方の一生分または生殖機能発現頃以降の戸籍と相続人生存証明の戸籍

住所が繋がって同一人物だということがわかっても、誰が相続人かは、法務局は知りません。そこで、亡くなった方の一生分または生殖機能発現頃以降死亡までの戸籍を全て提出することで、その方の結婚歴や子供がいるか、養子縁組がなされているかを証明することができます。現在の戸籍は、最近分10年程度しか記載されておらず、それ以前の記録は出てきません。ですので、それら一連のものがなければ、前に子がいたかも?と法務局は考えてしまうので、 一生分または生殖機能発現頃以降死亡までの戸籍を提出する必要があるのです。

さらに、現在の戸籍は、結婚などしますと、新たに別の戸籍ができますので、お子さんが結婚している場合には、お子さんが現在もご存命かは亡くなった方の戸籍だけ見てもわかりません。にお子さんがいらしたことは、亡くなった方の戸籍でわかるものの、その後、お子さんが生存されているかは、お子さんが結婚されたあとの戸籍を提出しなければわからないので、その提出がないと、法務局は「万が一、先にお子さんが亡くなっているかも?」と考えてしまうのです。

また、誰が相続するかを決める遺産分割協議は、相続人全員でしなければ無効とされていますので、相続人全員が参加しているかを証明する意味でも、これら戸籍が必要となるわけです。

なお、これら戸籍や住民票は、司法書士に頼めば全て手配が可能ですので(役所に現存する限りで)、ご自身でご用意頂かなくても大丈夫ですので、ご安心ください。

抵当権抹消

抵当権抹消登記でよく問題となりますのは、権利者の住所です。
よく、家を購入前の住所で登記されていることがあり、その場合、まずは住所変更登記をしたうえで、抵当権の抹消登記をする必要があります。費用は数万円が見込まれます。 (抹消のみの場合は、1.5万円から2.5万円程度(税込)。但し、古いものや嘱託登記など特殊なものは別途。 住所変更登記も、 1.5万円から2.5万円程度(税込)。但し、古いものなど特殊なものは別途。 )

通常、住宅ローン完済後、時間が経っていない場合は、論点らしい論点がないのが通常ですが、完済して時間が経つと、金融機関自体が倒産しているなどして、論点が生じることがあります。倒産している場合は、通常、その事務を裁判所が選んだ弁護士(清算人といいます)が引き継いでいますので、最終的に手続きはできるのが一般的です。

またこのような場合、そもそも当時の資料を紛失されている場合があります。この場合、新たに金融機関や清算人に再発行できる書類は依頼すれば再発行してもらえます。ところが抵当権の権利証は再発行は制度上不可能となっています。その代わりの手続きとして、事前通知制度というものがあります。金融機関(または清算人)の印鑑証明書を提出し、後日、さらに法務局から 金融機関(または清算人) にこの登記申請で受け付けてよいですか?という通知がなされます。 金融機関(または清算人) が、法務局にそれで良いですよと返事を出しますと、抹消登記がなされます。このように書類が紛失されている場合でも抵当権抹消手続きは可能となっております。

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