業務トピック

死者名義の相続登記

意外なことですが、死んだ人名義での相続登記というのもできます。例えば父名義の登記を一旦亡き母にして、さらに、子名義にするというようなものです。ただ、相続登記上は、あんまり意味がないので、以前はこれを利用されることはほとんどありませんでした。単に二つも登記を入れないといけないので、費用が嵩むだけでだからです。ですので、いきなり子名義にすることが多く利用されてきました。
ところが、変な理屈で、これが利用される場面が現れるようになりました。
それが空家の売却についての譲渡所得税の控除の場面です。
地震大国の日本では、旧耐震基準の不動産が残っていると、いざというときに危ないです。
国としては、旧耐震基準の不動産を無くしていきたいと考えています。
そこで、考えたのが、旧耐震基準の建物を所有する方で、その方が一人暮らしだった方場合に亡くなったなら、相続人がこれを除去または除去の約束付きで一定の期間内に売却した場合には、その敷地部分も併せて、売却益3000万円まで免税するという制度です。
この制度の所有・一人暮らしの要件に登記名義を要求します。
実体法上は、登記名義がなくても、その方のものだという合意(遺産分割協議)がとれていれば、その方の所有ですし、登記上は、あとでまとめて登記をするということで、必ずしも登記名義を入れることはされてきませんでした。
しかし、税法上、この制度を利用するには、その方の登記名義を要求します。実態に即すのが税務なのに、実態でなく、形式で判断するという意味不明な論理ですが、このような場合には、税金対策で一旦一人暮らしの方名義に入れるということ、場合によっては死者名義で登記を入れるということが行われるようになりました。
登記法上は、とても無駄な登記ですが、税法上はこちらが有利という意味不明な運用がなされるようになった為、最近はこのような死者名義の登記も使われるようになっています。

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