保佐人、補助人が復代理人を選任できるかについては両説あります。
改正前民法105条、現行106条の「法定代理人」に補助人が入るかの解釈です。
まず任意代理は原則として本人の許諾なく復代理させることができません。それが本人が頼んだ範囲だからです。
一方、民法106条で法定代理人が復代理させられるのは、法律で代理人になることを勝手に決められたこと、本人が無能力や行方不明などで許諾もらいようにもやりようがなく、辞任も簡単にできないので、しかるべく誰かに助けてもらわんと困るからだとされます。
大民法学者である我妻先生は保佐人、補助人もその代理権を行使するにあたっては法定代理人に準じて復代理可能だとの立場に立っている様子です。ある法務局でも、可能だと判断してくれたことがあります。
我妻説が復代理を肯定しているのは、本人の意思に基づき「選任」したものを任意代理人といい、保佐や補助は選任したのは裁判所だからと思われます。
一方で、私が疑義に感ずるのは保佐や補助は本人の同意で代理権付与してるので任意代理権に近いと言えるのではということ、保佐や補助は本人に能力がないわけでないので許諾が取れないと言い切っていいのかという疑問があります。この実態を考えますと、本人が改めて委任すれば足りるとも言えるのではないか。なので、反対説を採る法務局もあるだろうと思います。
因みにマイナンバーカードの受け取りの復代理については、後見人の復代理人はどこの自治体も認めていますが、一方で保佐人の復代理人を認めてる自治体もありますが、認めてない自治体の方が圧倒的に多いです。多分総務省は反対説に立っているものと思わます。