支払督促が来た場合の時効援用の動画はこちら
過去の清算
かつて負った債務を永く請求されることはとても辛いことだと思います。
利息の請求金額となると、とんでもない額になっていることも少なくありません。
時効は、そんなかつて負った債務を整理します。
つまり時効は、過去の清算手続きです。
時効の成立可能性は約80から90%です。
その確率で、時効によって、過去を清算することができるのです。
時効は、原則5年で成立します。
消滅時効の制度というのは、基本的に「放置」していたら、権利がなくなってもしょうがないという視点で考えます。
ですので、放置していたかという観点からすると、請求できるのにしなかったということが必要となります。
基本的に請求できるときから、多くの債務は5年で時効になります。(一部10年という時効のものもありますし、飲み屋のつけなど例外的に1年、2年のものもあります。)
※法律改正により2020年4月以降に発生した債権については、知った時から5年、知らなくても請求できるときから10年に基本的に統一されます。
中断・更新
2020年3月までに発生した債権については中断という用語で、以降の分は更新といい、その適用場面は厳密には法律改正されています。
しかし、大原則の改正はなく、考えないといけないのは、いつまで支払っていたか、また裁判がされていないかという2点です。
クレジット契約以外の分割の契約の場合、支払いをしなかった時点で、全額支払いの義務が生じます。
つまり、支払いをしなかったことで、そのときが「請求できるとき」となり、ここから時効の期間を考えることになります。
※クレジットの場合は、割賦販売法で、一度支払いをしなくても全額請求はできないことになっており、30日以上の支払い猶予の通知を行っても支払いがない場合に全額請求できるということとなっています。全額請求をする為の手続きが行われていない場合は、分割金がばらばらに時効進行することとなり、例えば1万円×3年払い(36万円)という場合は、5年経過で一番最初の分は、時効になるが、まだ35万円分はなっていないということになります。全額請求がいつなされているかによって、時効完成時が変わってきます。
また、一旦支払いが止まったあと、また支払いを行ったり、支払いを待ってほしいと債権者に言ったりすると、債務の時効期間はまたゼロからやりなおしになります。
また、訴えを提起されている場合、時効になっていれば、裁判中で時効主張をすれば勝てますが、放置して終わってしまうと、後から時効主張ができなくなり、さらに時効期間も10年になってしまいます。
電話はしてはいけない
債権を認めてしまうと、時効の主張ができなくなることから、債権者はなんとか電話をしたり、書面を送りつけたりして、債務を認めさせようとします。
待ってほしいなどと言ってはいけませんし、1円でも支払うと時効ができなくなる可能性があります。
このように相手方と接触をしてしまうと、時効ができなくなることがありますので、相手方の請求があっても、電話をしたり、やりとりをしたりすることは大変危険です。
裁判されても裁判で勝てるケースは少なくない
時効になっているのに、裁判を起こされるケースも珍しくありません。
ここで、時効の反論をすれば、勝てる事案も、正しい反論がなければ、自動的に敗けてしまいます。
それを狙っての訴え提起がなされることがよくあるのです。
しかし、弁護士や司法書士に依頼すれば、このような裁判についてもきちんと反論することで、時効での解決が図れます。
また、時効期間ぎりぎりで訴え提起がされることがあります。時効前の訴えは基本的には負けるのですが、実は債権譲渡がされているケースでは、ぎりぎりの訴えの場合は、ひっくり返せるケースが少なくありません。
大正から昭和初期の古い判例があるのですが、裁判官も必ずしもその判例を知っておらず、誤って敗けてしまうケースもありますので、きちんとした対応を採ることが必要となります。
時効主張は内容証明で
時効主張は証拠の残る内容証明でするのが望ましいです。
なお、この内容証明の文面は、時効になっているときは、そう問題になりませんが、時効になっているか微妙なときには、その文面によっては、不利な状況に置かれることがありえます。
ですので文面は昭和の判例なども踏まえて、どういう主張であるのか練ったもので行うのが安全です。
また、実は、時効になっていなくても請求を止められる場合があります。
これも債権譲渡の場面ですが、債権譲渡は、もらった側が好き勝手に請求できるかというとそうではなく、譲った側からの通知が借りている人にないと請求を拒否することができます。
この譲った側が、今もある会社であれば、通知がないので請求拒否としても、通知されれば負けてしまいますが、もうつぶれた会社であれば、通知することは不可能です。
そういった場合には、時効になっていなくても請求が止められることがあります。
このように単純に時効だという場面においては、専門知識が少なくても対応できることもありますが、微妙な論点があるような場合には、二の手、三の手を入れこんだ文面を作成することが有用となります。
時効解決を確認
実は、時効主張した結果というのは、債権者から連絡があることはほとんどありません。
ですので、こちら側から、時効主張したが、それで反論がないのか、解決したのか確認していく必要があります。
これはいわば交渉事ですので、相手への確認は、紛争について代理できる資格が必要です。
司法書士は一社当たりの元本が140万円まで行うことができます。(※弁護士は上限はありません。)
※140万円は、利息、遅延損害金は関係ありませんので、元本がいくら残っているかで考えます。
多くの債務は140万円までの元本であることが多いので、ほとんどの債務について、司法書士が受任し、相手方に解決ができているのか確認していくことができます。
手続きは、内容証明を用意するのに1週間ほど、そして、相手方が反論できることがないかを確認するのに通常2週間ほどかかるので、それを待って、確認します。
ですので、裁判になっているなどのとりたてた論点がなければ、概ね標準的には手続き開始から、1か月前後くらいで手続きは終了します。
法テラス利用の勧め
法テラスは国の立替制度で、費用負担も少なく設定されており、2か月後から月5000円ほど、国に立替金を返済していく形で利用が可能です。
また、申込時点と手続き終了時点の両方で、生活保護を利用されている方は、国への返済が免除されますので、実質負担なしでの手続きも可能です。
以下の収入資産要件を下回る方につきましては、負担の少ない法テラスのご利用をお勧めしています。
法テラス利用条件
収入要件(結婚している場合は、夫婦合計の収入)
(都市部の場合)
単身者 20万200円+家賃・住宅ローン(最大41000円)
二人家族 27万6100円+家賃・住宅ローン(最大53000円)
三人家族 29万9200円+家賃・住宅ローン(最大66000円)
四人家族 32万8900円+家賃・住宅ローン(最大71000円)
以降家族1名増加毎に3万3千円を追加します。
(準都市部・町村)
単身者 18万200円+家賃・住宅ローン(最大41000円)
二人家族 25万1000円+家賃・住宅ローン(最大53000円)
三人家族 27万2000円+家賃・住宅ローン(最大66000円)
四人家族 29万9000円+家賃・住宅ローン(最大71000円)
以降家族1名増加毎に3万3千円を追加します。
また資産要件として、以下の金額以上の資産がある場合も該当しません。
単身者 180万円
2人家族 250万円
3人家族 270万円
4人家族以上 300万円
※収入の証明書の用意が必要
結婚している場合は、夫婦両方必要となります。
給与明細、源泉徴収票、住民税(非)課税証明書、給料の振り込まれている通帳、生活保護証明書、年金額の通知書など。