業務トピック

被告の住所不明と訴状却下、そして調査嘱託

訴状に最低限必要なこと

民事訴訟法133条に定めがあります。
一つには、 当事者及び法定代理人
そして、請求の趣旨及び原因です。
請求の趣旨及び原因というのは、要は訴えの内容についてですが、これについて言い出すと沢山議論がありますので、今回は、割愛します。

今回取り上げますのは、当事者及び法定代理人についてです。
法定代理人というのは親権者などですが、要は訴えの当事者を特定しなければならないわけです。特定方法は氏名と住所で行います。
これが特定されませんと訴状は却下されます。
なぜなら、訴状の必要的記載事項として民事訴訟法が定めているからと言えばそれまでですが、実質的に当事者が定まらないことには、裁判を始めようがないというところがあります。

相手の住所がわからない

相手の住所、若しくは所在地が全くわからないとなると被告の住所欄は書きようがありません。
そうしますと、訴状は却下されてしまいます。
却下といいますのは、そもそも裁判が始まってないということです。
しかし場合によっては、却下を免れることが出来る場合があります。

裁判所に調べてもらう

訴状の記載事項を裁判所で調べてもらうという方法があります。調査嘱託といって、裁判所にこの団体に聞いてみてもらえたらわかるはずなので、調べて下さいといったものです。
しかし、これが結構ハードルが高く、おいそれと調べてくれるかというとそうでもありません。
しかし、これについては、下級審レベルですが、認容されたものがいくつかあります。有名なものに名古屋高裁金沢支部 平成16年12月18日の裁判例があります。
これは、振り込め詐欺被害で、口座名義人を訴えたいという場面で、調べつくしたけれど、口座名義人の住所がわからかった場合(銀行も教えてくれない)に、裁判所からの調査嘱託を認めて、その調査結果により、訴状の記載事項を補正することができうるから、調査嘱託を認めずに訴状却下するのは許されないとしたものです。

訴状却下というのは、結構、ショックが大きく(せっかく訴えようとしているのに門前払いされるわけです)どうしようもない感が漂ってしまうのですが、相手方の特定について、裁判所が調べればわかる場合にはまだチャンスがあるということになります。
なお、この事例は高裁判断(第二審)ですが、私が経験したのも、一審では訴状却下され、二審で認められて、調査嘱託を経て、特定できたというものがあります。
ですので、上の裁判所での手続きも念頭に相手方の特定をしていくというつもりでやる必要があります。

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