業務トピック

自筆証書遺言の検認申し立て

遺言書の作成方法にはいくつかありますが、なんらの公の機関を利用せずに自分で全部書くものを自筆証書遺言といいます。
遺言書は、実は公を一回通さないと、相続手続きでは使えません。
大きくは、公正証書遺言(公証役場)、遺言書保管制度(法務局)、自筆証書遺言(家庭裁判所)という3つの制度で(他にもマイナーなものがありますが割愛します。)、公の機関を一度は通します。
自筆証書遺言は、作成時にはご自宅で作成できますので、もっとも簡易な手続きで作成が可能ですが、死後、家庭裁判所でのチェックを受ける必要があります。
このチェックを「検認」というのですが、実はチェックといっても、大したことはしません。
申立てには、相続人全員を示す戸籍謄本類のほか、遺言書が必要となります。
申し立てをしますと、家庭裁判所から相続人全員に通知を行い、裁判所が定める期日にて、相続人全員と裁判官とで、遺言書の確認を行います。(相続人は立ち会う義務はなく、呼んでも来なかったら、来なかったで進みます。)
このとき、署名や印鑑を見て、これは被相続人のものですか?ということを裁判官は相続人の皆さんに聞きますが、中身については言及しません。
検認手続きは、遺言書の有効無効を決めるものではなく、みんなで見るだけです。
検認の効果は、証拠保全効果があると言われています。
このとき裁判所と相続人とで確認して記録に残しますので、この後、書き込みがあったなら、明らかに、遺言者が書いたわけではないことがわかります。そういう意味で証拠の保全になるわけです。
そのくらいのことしかしませんので、検認を受けたからといって、だからなんなんだという感じがするわけですが、実際に遺言書に基づいて手続きをする為には、この検認を受けていませんと、相続登記も金融機関での相続手続きも行うことができません。
ですので、事実上、検認が手続きの条件になっているわけです。
なお、遺言書が有効か無効かについて、各相続人が争いたい場合には、この検認ではなく、その後の遺産分割の中で主張していくことになります。なお、この争いについては、代理人になって交渉などができるのは弁護士に限定されています。
司法書士は遺言の検認手続の書類の作成は可能ですが、その後の、紛争の解決には、司法書士は関与できませんので、援助が必要な場合には、弁護士が必要があるということになります。(弁護士が必須という意味ではありません。当事者同士で解決できるならばそれはそれで問題ありません。)

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